桐山照史主演舞台「赤シャツ」初日
観てきました。桐山照史くん主演舞台「赤シャツ」。
これから観劇される方の方が多いと思いますのでネタバレせずに感想のみお伝えしたいと思います。
まず申し上げたいのは
この舞台のチケットを持っていらっしゃる方はとても幸運だとお伝えしたい。
それほどまでに役者「桐山照史」の積み上げてきた経験と今後の可能性を強く感じる舞台だったと思います。
原作はご存知、夏目漱石の小説「坊ちゃん」。教師である坊ちゃんが松山に赴任した先の学校の教頭が「赤シャツ」なのです。舞台は「赤シャツ」を主人公にして展開します。
幕が開くとほどなく桐山くんが登場しますが
目線を含めた表情、首の傾げ方、歩き方、指先まで全てに自信が満ち溢れているように見えました。私は「ああ、もうすっかり完成したんだな」と感じました。
桐山くんが登場して数分で誰もが「赤シャツ」が今どんな地位でどんな性格で周りの人からどう思われているのか、が的確に伝わってきました。
物語はコメディの要素も含みながらテンポよく進行していきます。
桐山くんの出番は非常に多くほとんど出ずっぱりという印象です。
しかし動きにもセリフ回しにも一切の淀みがなく、時折アドリブ的な要素も
入りますがそれすら滑らかで余裕すら感じたくらいです。
初日から舞台が楽しくて仕方がない、芝居を楽しもうお客さんを楽しませようという想いがひしひしと伝わってくるようでした。
前作「泣くロミオと怒るジュリエット」がコロナの感染拡大を受け東京公演の途中で中止、大阪公演も全て中止になった悔しさをエネルギーに変えてこの舞台にぶつけてきたなと感じました。
非常に流ちょうに器用に「赤シャツ」を演じた桐山くんですが見どころはやはり二幕の後半~。「赤シャツ」が自ら選択した人生のある部分について、
肯定しながらも実はひとかけらの後悔が常に心の片隅にあったこと
自己肯定と否定が交錯する複雑な心情と悲哀。
今まで様々な舞台やドラマで培ってきた経験と積み重ねてきた努力が開花した瞬間をこの目で見た気がしました。
「アマデウス」で見せた壊れそうな緊張感
「マリウス」でみせた気迫
「ロミジュリ」で演じた繊細な表情
これまでのどの舞台とも違う「強い可能性」を秘めて彼は舞台に立っていました。
2幕の最後まで心をグッと掴まれたままで幕が下ります。
カーテンコールの割れんばかりの拍手を、満員の客席を見つめながら、とても愛おしそうに聞いていた姿が印象的でした。
この「赤シャツ」という舞台はこれからの俳優桐山照史を語るとき
大きなターニングポイントとして、そして代表作として語られるに相応しい作品だと感じました。
舞台初出演となるSexy Zoneの松島くんも初日の緊張感に包まれながらも思い切ったお芝居が素晴らしかったです。
どうかこれから「赤シャツ」を観劇される方は今一度小説の「坊ちゃん」をさらってからご覧になるとなお分かりやすいかと。私的には坊ちゃんが憎たらしい存在になりました。
桐山くんが「赤シャツ」に出会えてよかった。
そして桐山くん演じる「赤シャツ」を見ることが出来て幸せでした。
チケットをお持ちの方はどうぞお楽しみに。